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フィルター交換・ローター点検

デシカント空調の安定した性能を維持するために欠かせない、定期的な「フィルター交換」。

「どのくらいの頻度で交換すればいいの?」「費用はどれくらいかかる?」「自分でできる作業なのだろうか?」など、導入を検討する上で気になる点も多いかと思います。

この記事では、デシカント空調のフィルター交換の重要性から、具体的な交換頻度、手順、費用の目安までを分かりやすく解説します。また、フィルターと同様に重要な「除湿ローター」の点検についても触れていきます。

適切なメンテナンスは装置の安定稼働に不可欠です。この記事が、長期的な視点でのデシカント空調選びの一助となれば幸いです。

なぜデシカント空調のフィルター交換は重要なのか?

フィルター交換は、単なる「掃除」ではありません。装置の性能から寿命までを左右する重要なメンテナンスです。交換を怠った場合のリスクと共に、4つの重要な理由を解説します。

1. 除湿性能の維持

フィルターがホコリやゴミで目詰まりすると、空気の通り道が狭くなり、装置が吸い込める空気の量が減少します。その結果、本来の除湿能力を十分に発揮できなくなり、「最近、湿度が下がりにくくなった」といった性能低下に直結します。装置の性能を100%引き出すための基本が、フィルターをきれいに保つことです。

2. 省エネ性能の維持(電気代への影響)

目詰まりしたフィルターを通して無理に空気を吸い込もうとすると、ファンモーターに過剰な負荷がかかります。これは、消費電力の増大、つまり電気代の上昇に直結します。定期的なフィルター交換は、デシカント空調が持つ本来の省エネ性能を維持し、無駄なランニングコストを抑える上でも非常に重要です。

3. 装置本体の保護と故障予防

フィルターは、外部からのホコリや粉塵が装置内部へ侵入するのを防ぐ「盾」の役割を担っています。フィルターを通過してしまった微細なホコリは、内部の精密な除湿ローターや熱交換器、各種センサー類に付着・堆積します。これが、より深刻で高額な修理が必要となる故障の根本原因になり得るのです。

4. 衛生環境の維持

特に食品・医薬品工場やクリーンルームなど、高い清浄度が求められる環境では、フィルターの状態が空気品質を大きく左右します。湿気とホコリが溜まった汚れたフィルターは、カビや雑菌の温床となり、そこから汚染された空気が供給されることで、製品の品質問題や衛生管理上の重大なリスクに発展する可能性があります。

デシカント空調のフィルター交換|頻度・手順・費用の目安

ここでは、フィルター交換に関する具体的な疑問にお答えします。ただし、ご紹介する頻度はあくまで一般的な目安であり、粉塵が多い工場など、設置環境や運転時間によって大きく変動する点にご注意ください。

フィルターの種類と交換頻度の目安

デシカント空調には、役割の異なる複数のフィルターが使われていることが一般的です。

  • プレフィルター(粗塵フィルター)
    役割: 空気の吸込口に最初に設置され、比較的大きなホコリやゴミを除去します。
    頻度: 1~3ヶ月に1回の清掃、および半年~1年に1回の交換が推奨されます。
  • 中性能フィルター
    役割: プレフィルターを通過した、より細かい粉塵を捕捉するメインのフィルターです。
    頻度: 半年~1年に1回の交換が目安です。水洗いできない製品が多く、基本的に交換となります。
  • HEPAフィルター(高性能フィルター)
    役割: クリーンルームなど、特に高い清浄度が求められる場合に追加される高性能フィルターです。
    頻度: 1~数年に1回の交換が目安ですが、フィルター前後の圧力差を計測して交換時期を判断することが一般的です。

フィルター交換の基本的な手順

基本的な交換手順は以下の通りです。作業前には必ず、お使いの機種の取扱説明書をご確認ください。

  1. 電源OFF: 感電や事故防止のため、必ず装置本体の電源および分電盤のブレーカーを切ります。
  2. 点検口を開ける: フィルターが格納されている点検口やカバーのネジを緩めて開けます。
  3. 古いフィルターの取り出し: 周囲にホコリが飛散しないよう、古いフィルターをゆっくりと引き出します。
  4. 新しいフィルターの挿入: 新しいフィルターを、空気の流れを示す矢印(エアフローマーク)の向きに注意して、奥までしっかりと挿入します。
  5. 復旧・試運転: 点検口を元通りに閉め、電源を入れて正常に運転するか確認します。

※高所作業や大型機種の場合は、転落などの危険を伴います。安全のため、専門業者への依頼を強く推奨します。

フィルター交換にかかる費用の目安

フィルター交換にかかる費用は、「部品代」と「作業費」で構成されます。

  • 部品代(フィルター本体の価格):
    プレフィルターや中性能フィルターで、1枚あたり数千円~数万円が目安です。HEPAフィルターはさらに高価になります。
  • 作業費(専門業者に依頼する場合):
    出張費や作業内容によりますが、1回あたり数万円~が目安となります。

メーカーとの年間保守契約を結ぶことで、定期的なフィルター交換作業やフィルター代が契約料金に含まれている場合もあります。導入時に確認しておくとよいでしょう。

フィルター交換と合わせて行いたい「除湿ローター」の点検

フィルター交換の際には、もう一歩踏み込んで、デシカント空調の「心臓部」である除湿ローターの状態も確認することが、装置を長持ちさせる上で非常に効果的です。

なぜローター点検も重要なのか?

除湿ローターは、空気中の水分を吸着・除去する役割を担う、デシカント空調で最も重要な部品です。フィルターで取り切れなかった微細なホコリや、空気中に含まれる化学物質(油分など)がローター表面に付着・蓄積すると、吸湿性能そのものが徐々に低下してしまいます。

この性能低下は、フィルターの目詰まりと同様に除湿能力の不足や電気代の増加に直結します。心臓部であるローターを健全な状態に保つことが、装置全体の長寿命化に繋がるのです。

ローターの点検・メンテナンス方法

ローターの本格的なメンテナンスは専門知識が必要ですが、フィルター交換時に簡単な目視点検を行うだけでも、異常の早期発見に繋がります。

目視点検(ご担当者様で可能)

フィルターを取り外した際に、ローターの表面に極端な汚れ、変色、カビの発生、物理的な破損(へこみや傷)がないかを目で見て確認します。もし異常が見られる場合は、専門業者に相談しましょう。

専門業者によるメンテナンス

性能低下が見られる場合や目視で異常が確認された場合は、専門業者によるメンテナンスが必要です。専用の洗浄剤や圧縮空気を用いた洗浄、性能が著しく低下している場合はローター自体の交換といった対応が行われます。ローター交換は高額な修理となるため、そうなる前の定期的な点検とメンテナンスが重要です。

メンテナンスの手間を減らすには「目的に合った製品選び」が鍵

これまで見てきたように、フィルター交換やローター点検は、デシカント空調の性能を維持するために不可欠なメンテナンスです。しかし、その手間や頻度、そしてコストは、設置する環境や導入する製品によって大きく変わります。

例えば、比較的クリーンなオフィスと、常に粉塵が舞っている工場では、フィルターが汚れるスピードは全く異なります。後者の場合、初期費用が多少高くても、高性能なフィルターを搭載できる機種や、交換作業がしやすいようメンテナンス性に配慮された設計の機種を選ぶことが、結果的に長期的な手間とトータルコストの削減に繋がります。

導入後に「こんなにメンテナンスが大変だとは思わなかった…」「フィルター代が想定以上にかかる…」と後悔しないために、自社の環境やメンテナンスにかけられる人員・時間を考慮し、それに最適な機種を選ぶことが非常に重要です。

当メディア「KARADESI」では、そうした“目的別”“環境別”の視点から、最適なデシカント空調選びをサポートしています。

【目的で選ぶ】
おすすめのデシカント空調3選

6. まとめ

デシカント空調のフィルター交換は、除湿性能や省エネ性の維持、故障予防、そして衛生環境の確保のために非常に重要な作業です。交換頻度や費用はフィルターの種類や設置環境によって異なりますので、導入前に運用イメージを掴んでおくことが大切です。

また、フィルター交換と合わせて、心臓部である除湿ローターの点検も行うことで、より長く安定した運用が可能になります。

そして最も大切なのは、メンテナンスの手間やコストを最適化するには、導入前の「自社の目的に合った製品選び」が最も効果的であるという視点です。

初期費用だけでなく、フィルター交換のようなランニングコストやメンテナンス性も比較検討の軸に加え、長期的な視点で自社に最適な一台を選定しましょう。

デシカント空調のメンテナンスについてもっと知る

THREE SELECTIONS
目的に応じて選ぶ
デシカント空調製品おすすめ3選
チルド食品の冷却包装
向け
カサバー
カサバー

画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)

低温度帯での省エネ稼働と衛生管理

0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。

特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。

有機EL製造・開発環境
向け
ドライセーブSSP/SZP
ドライセーブSSP/SZP

画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)

超低露点乾燥を実現する独自技術

機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。

クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。

冷蔵ショーケース結露対策
向け
カラットデシカント
カラットデシカント

画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)

営業を止めずに黒カビ・結露対策

天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。

独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。

※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)