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病院内のカビ対策と衛生管理|デシカント空調の役割

免疫力が低下した患者様が多く入院する病院において、「カビ」は単なる汚れではなく、時として命に関わる院内感染(アスペルギルス症など)の直接的な原因となり得ます。

日々の清掃や消毒を徹底していても、なぜかカビが再発しやすい…。その根本原因は、従来の空調ではコントロールしきれていない「湿度」にあるかもしれません。

この記事では、病院におけるカビ対策と衛生管理の鍵となる湿度コントロールの重要性と、その最適なソリューションとして「デシカント空調」が果たす役割について、詳しく解説します。

患者様と医療従事者のための、安全で快適な環境づくりにお役立てください。

なぜ病院でカビ対策は徹底されなければならないのか?

まず、病院におけるカビのリスクと、その根本原因である湿度管理の難しさについて解説します。

カビが引き起こす院内感染のリスク

健康な人には影響が少ないカビの胞子も、治療や手術で免疫力が低下した患者様にとっては深刻な脅威です。特に、空気中に浮遊するアスペルギルスなどの真菌を吸い込むことで発症する肺感染症は、重篤な状態を引き起こす可能性があります。

このリスクは院内全体に存在しますが、特に手術室、ICU(集中治療室)、NICU(新生児集中治療室)、無菌室など、極めて高度な清浄度が求められるエリアでは、万全のカビ対策が不可欠です。

カビ発生のメカニズムと「湿度」の重要性

カビは「温度」「栄養源(ホコリや建材)」「水分(湿度)」の3つの要素が揃うと繁殖します。病院内で快適な温度を保ち、栄養源をゼロにすることが難しい以上、カビの発生を抑制するために唯一確実なコントロールが可能なのが「湿度」です。

一般的に、カビは相対湿度65%を超えると活動が活発化し、80%を超えると一気に繁殖すると言われています。つまり、院内の湿度を年間通じて60%以下に保つことが、カビ対策の最も重要な鍵となります。

病院内で特にカビが発生しやすい場所

病院内には、構造上どうしても湿気がこもりやすく、カビのリスクが高い場所が点在しています。

  • 手術室、中央材料室(滅菌・洗浄エリア)
  • リネン室、寝具室
  • 入浴室、脱衣所
  • 地下にある倉庫、機械室、薬剤部
  • 外気を取り入れる空調機周辺

従来の空調における湿度管理の課題

一般的な空調(エアコン)にも除湿機能はありますが、これはあくまで冷房の副次的な機能です。そのため、梅雨時や夏場といった特に湿度が高い時期には除湿能力が不足し、院内の湿度を十分に下げきれないケースが多く見られます。

また、除湿のために空気を過剰に冷やし、その後ヒーターで温め直す「再熱除湿」方式は、エネルギーコストが非常に高くなるという経営上の課題も抱えています。

病院の衛生管理におけるデシカント空調の役割とメリット

従来の課題に対し、デシカント空調は「湿度を専門にコントロールする」ことで、病院のカビ対策と衛生管理に大きく貢献します。

役割1:院内全体の湿度を最適にコントロールし、カビの発生を根本から抑制

デシカント空調の最大の役割は、除湿を専門に行うことで、季節や天候に左右されずに院内の湿度をコントロールすることです。これにより、カビが繁殖しにくい相対湿度60%以下の環境を安定的かつ効率的に維持することが可能になります。カビの発生要因である「水分」を根本から断つことで、衛生的な環境を構築します。

メリット1:院内感染リスクの低減

カビの発生源をなくすことは、空気中に浮遊する真菌胞子の量を減らし、院内感染のリスクを直接的に低減させることに繋がります。特に、湿式(液体デシカント)のシステムは、その除湿プロセスにおいて、空気中の細菌やウイルスを捕集・不活化する効果も期待できます。これは、単なる湿度コントロールに留まらない、一歩進んだ空気質の改善と言えるでしょう。

メリット2:医療スタッフと患者の快適性向上

適切に湿度がコントロールされた空気は、ジメジメとした不快感を解消し、「カラッ」とした快適な空間を生み出します。このような環境は、患者様の療養環境を向上させるだけでなく、長時間勤務する医療スタッフの労働環境改善や、集中力の維持にも繋がります。

メリット3:建物と医療機器の保護

高湿度や結露は、壁や天井のシミ、内装材の腐食といった建物の劣化を引き起こします。また、湿気は精密な医療機器の電子回路に影響を与え、故障の原因ともなり得ます。デシカント空調による湿度管理は、病院という重要な資産を長期的に保護する役割も果たします。

【重要】エリアの目的に合わせたデシカント空調の選び方

デシカント空調が病院の衛生管理に有効であるとご理解いただけたかと思います。しかし、ここで最も重要なのは、「どの製品を導入するか」という選定のプロセスです。

病院と一言で言っても、その中には多種多様な目的を持つエリアが存在し、それぞれ求められる空気環境は大きく異なります。

  • 手術室やICU: 「低温・低湿」を維持しつつ、「極めて高い清浄度」が求められます。
  • 一般病室: 感染対策はもちろん、患者様や面会者のための「快適性」や「静音性」が重要視されます。
  • リネン室や滅菌エリア: カビや菌の繁殖を徹底して防ぐため、「確実な乾燥(低湿度)」が最優先されます。

これらの異なる要求に対し、「どのデシカント空調でも同じ」という考え方で画一的に導入してしまうと、「オーバースペックでコストがかさむ」「要求性能を満たせずカビが再発する」といった失敗に繋がりかねません。

病院全体の衛生管理を成功させる鍵は、各エリアの目的に合致した性能・特性を持つデシカント空調を適切に選び、配置することなのです。

当メディア「KARADESI」では、そうしたエリアごとの目的に応じた、最適なデシカント空調選びをサポートしています。特に、高い衛生性能が求められる環境に適した製品や、具体的な導入事例を以下のページでご紹介しています。

病院でのデシカント空調の導入事例についてもっと見る

【目的で選ぶ】
おすすめのデシカント空調3選

まとめ

病院におけるカビ対策と衛生管理の成功は、院内感染リスクを低減し、患者様と医療従事者を守るための最重要課題です。その根本的な解決策は、カビの繁殖要因となる湿度を年間通じて60%以下に安定してコントロールすることにあります。

デシカント空調は、従来の空調では難しかったこの課題を解決し、カビの発生を抑制する強力なソリューションです。

ただし、その効果を最大限に発揮するためには、手術室、病室、倉庫といった各エリアの目的に合わせた最適な機種選定が不可欠です。本記事を参考に、貴院の衛生環境を向上させるための、適切な空調システムの導入をご検討ください。

THREE SELECTIONS
目的に応じて選ぶ
デシカント空調製品おすすめ3選
チルド食品の冷却包装
向け
カサバー
カサバー

画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)

低温度帯での省エネ稼働と衛生管理

0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。

特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。

有機EL製造・開発環境
向け
ドライセーブSSP/SZP
ドライセーブSSP/SZP

画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)

超低露点乾燥を実現する独自技術

機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。

クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。

冷蔵ショーケース結露対策
向け
カラットデシカント
カラットデシカント

画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)

営業を止めずに黒カビ・結露対策

天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。

独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。

※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)