デシカント空調は、温度に依存せず高精度な湿度制御を実現し、超低湿環境の構築や安定した恒温恒湿環境の維持が可能な空調技術です。
一般オフィスや商業施設だけでなく、湿度管理が製品品質や環境条件の維持に影響する産業・医療分野でも導入が進んでいます。
病院では、快適な室内環境の確保や機器の安定稼働のために、適切な温湿度管理が求められます。特に湿度管理は、空気中の浮遊粒子の挙動やカビ・ダニが好む環境の形成に関わるため、院内の施設やエリア別に適した制御が必要です。
デシカント空調は、除湿・加湿・浮遊粒子の物理的除去・臭気の抑制機能を備え、病院のようにエリアごとに異なる管理が必要な施設に適しています。
ある総合病院では、除湿・加湿・粒子除去・臭気低減機能を持つダイナエアーのモイストプロセッサーを採用。冬期の暖房使用時でも湿度40%を維持することで、快適で衛生に配慮した室内環境を構築しました。
食品工場では、製品の品質保持や衛生基準の確保に直結する空調管理が重要です。とくに、低温エリアや外気を取り込む工程では、結露の対策が求められます。
また、HACCPなどの衛生管理基準に準拠するには冷却除湿方式だけでは対応が難しく、デシカント空調のような高度な湿度制御技術が有効なケースも少なくありません。
粉体調味料は高湿環境下で水分を吸収し固形化しやすくなります。空気温度を上げて相対湿度を下げる手段もありますが、効果的ではありません。
また、フリーズドライ食品などの低温乾燥品は、包装時に余剰水分を吸収すると開封前に品質劣化が進行しやすくなります。
ティーネットジャパンの湿式デシカント空調「カサバー」が作り出す低温・低湿環境は、安定した品質管理と異物混入防止を実現。衛生的な包装室環境の維持や省エネ運用、品質劣化の防止にもつながります。
保管製品の性質に応じ、湿度管理が必要となる倉庫や物流施設では、高湿によるカビ・錆の発生や、低湿による静電気・乾燥トラブルが課題となります。品質維持の観点からも、湿度の適正化は重要です。
ある食品冷蔵倉庫では、搬入口からの湿気流入による庫内の結露や霜の付着が課題でした。しかし新晃工業のデシカント除湿機の導入により、湿気の流入を制御し、安定した低湿環境を維持できるようになり、作業効率も上がっています。
GMPに基づく厳格な環境管理が求められる医薬品工場では、温度・湿度や空気中粒子数の安定的な管理が求められます。デシカント空調は、高い精度で環境制御が可能であり、再現性や異物混入リスク低減など品質の向上が期待できます。
電子部品、半導体、光学機器などを製造する現場では、わずかな湿度変動が歩留まりの低下や製品不良の要因となることがあり、空調管理の精度が求められます。特に、静電気の発生や粉塵の付着を抑えるためには、湿度を適切な範囲で安定的に制御することが不可欠です。
こうした環境では、冷却除湿方式では設定湿度の下限に限界があります。加えて、過剰な冷却による結露や温度変動が製品や工程に悪影響を及ぼすケースもあるため、温度に依存せずに湿度を直接制御できるデシカント空調の導入が、品質管理上有効な手段とされています。
画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。
特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。
画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)
機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。
クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。
画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)
天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。
独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。
※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)