デシカント空調は、湿度を直接コントロールできるため、結露・カビ対策や品質維持が求められる現場で評価されています。一方で、導入後のランニングコスト(光熱費・保守費)は導入判断の重要項目です。
本ページでは、ランニングコストの内訳、光熱費削減のメカニズム、費用を左右する条件、そして「目的に応じて選ぶ」ことの重要性を解説します。最後に用途別の訴求コンテンツへ遷移できる導線も用意しています。
デシカント空調(除湿ローター方式)のランニングコストは概ね以下の合計で構成されます。
月次の概算は次式で把握します(目安)。
月間ランニングコスト = (消費電力量[kWh] × 電力単価) + (再生熱源使用量 × 単価) + 保守費(月割)
ここでの再生熱源は、ローターの吸湿材を乾かすために必要な熱。設計次第で廃熱・排熱・温水を活用できれば、一次エネルギー購入量を抑えられます。
従来の空調は「冷却で除湿→必要に応じて再加熱」となりがちです。デシカント空調は、湿度(潜熱)と温度(顕熱)の役割分担が可能です。
同一の露点・湿度目標に対して、従来の「冷却除湿+再加熱」よりもトータル投入エネルギーを低減できるケースがあります。
要求が厳しいほど(例:露点−20℃等)、ローターの処理負荷・再生負荷が上がりエネルギー投入量が増加します。処理風量が大きい現場も比例的にコストが増える傾向です。
電気ヒーター/ガス/蒸気/温水(廃熱含む)でコスト構造が大きく変わります。既設ボイラやプロセス排熱が使えると大幅な低減余地が生まれます。
夏季の外気絶対湿度が高い地域や、24時間運転・ピーク集中などは運転時間・再生頻度を押し上げます。外気導入比率が大きいと除湿負荷が増大します。
デシカントで潜熱、EHP/チラーで顕熱を分担し、熱回収(顕熱交換器)や前後処理の組合せを最適化することで、同じ制御目標でも投入エネルギーを抑えられます。
下記は比較の「考え方」を掴むための概念例です。実設計では必ず個別試算が必要です。
| 条件 | 製造エリア:500m²、天井高4m、処理風量8,000m³/h、目標RH45%、外気導入20%、16時間/日 | |
|---|---|---|
| 方式A | 従来型:冷却除湿(過冷却)+再加熱、顕熱交換なし | |
| 方式B | デシカント:潜熱処理+顕熱はEHP、顕熱交換器と廃温水でローター再生 | |
| 年間電力 | 方式A:X1 kWh | 方式B:X2 kWh |
| 年間熱源 | 方式A:Y1(再加熱) | 方式B:Y2(再生・廃熱主体) |
| 概算コスト | 方式A:電力単価×X1+熱源単価×Y1 | 方式B:電力単価×X2+熱源単価×Y2 |
「とりあえず低湿度」は禁物。製品・工程が要求する必要十分な目標値に設定することが最も効く省エネ対策です。
人・工程の集中時間に合わせ、エリアごとに風量・再生頻度を可変。不要時間の無駄な除湿を抑制します。
必要換気量の確保は前提としつつ、外気の前処理・顕熱交換で外気起因の除湿負荷を低減します。
廃熱・低温水・排熱回収の活用可能性を検討。ボイラやプロセス熱源の余熱カスケードでコスト最適化を図ります。
フィルター目詰まりは送風電力の増大要因。適正なグレード選定と交換周期の最適化で電力増を回避します。
ランニングコスト試算では、これらの保守を年額で積み上げ月割して比較に織り込むのが実務的です。
同じ「デシカント空調」でも、吸湿材グレード・ローター径・再生温度域・熱回収の有無・顕熱側の構成によってコスト構造は大きく変わります。
用途に最適化された機種・システムを選ぶほど、同じ品質で無駄のない光熱費に近づけます。
A. 目的次第です。多くのケースで、デシカント=潜熱、既存空調=顕熱の分担にするとエネルギーの無駄が減ります。既設の冷房能力・ダクト系統・制御システムとの互換性を事前に確認しましょう。
A. 単価次第で上がり得ます。廃熱・温水・蒸気の活用可否や、契約電力・デマンド対策で最適化の余地があります。再生熱源の見極めが肝です。
A. 露点を下げるほど再生エネルギー投入量は増えます。必要な露点を工程品質から逆算し、過剰スペックを避けるのがコスト抑制の第一歩です。
ランニングコストを最小限に抑えるには、施設の用途や運用環境に合わせたシステム設計が欠かせません。目的に応じて最適なデシカント空調を選ぶことで、光熱費・保守費の両面で効率的な運用が可能です。以下の導入事例ページでは、各業種での活用ポイントを紹介しています。
| 医療・福祉施設 | 衛生性と安定湿度を両立する導入事例を見る | |
|---|---|---|
| 食品工場 | 結露防止と品質維持を実現した導入事例を見る | |
| 物流倉庫 | 省エネと安定環境を両立した導入事例を見る | |
| GMP・医薬品製造 | 厳格な湿度管理を実現した導入事例を見る | |
| 精密機器製造 | 高精度な低露点環境の導入事例を見る | |
画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。
特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。
画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)
機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。
クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。
画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)
天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。
独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。
※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)