デシカント空調は、吸湿剤(デシカント)を用いて空気中の水分を直接吸着・除去する、高精度な湿度制御が可能な空調システムです。一般的な冷媒方式のエアコンが「冷却による除湿」を行うのに対し、デシカント方式は“化学的な吸湿”で湿度を下げるため、外気条件に左右されにくく、年間を通して安定した除湿が可能です。特に、工場・倉庫・食品加工・医薬品製造・病院など、わずかな湿度変動が品質や衛生に影響する現場では欠かせない存在となりつつあり、温湿度安定性・省エネ性・結露防止効果が評価されて導入が進んでいます。
一方で、精密な機構と多くの部品で構成されているため、誤った運用やメンテナンス不足によって故障が発生するケースもあります。本ページでは、現場で実際に起こりやすいデシカント空調の故障事例とその原因、そして未然に防ぐための対策を総合的に解説します。
デシカント空調のトラブルは、ローター・駆動系・センサー・電気系統など、複数の部位で発生します。ここでは、現場で最も多く報告される代表的な故障を具体的に紹介します。
最も多いトラブルが「湿度が下がらない」「設定値に到達しない」といった能力低下です。原因は多岐にわたります。
運転中の「ガタガタ音」「異常な振動」「軋む音」などは、機械的トラブルの前兆です。
「設定湿度が安定しない」「温度が上下する」といった症状は、制御系統の不具合に多く見られます。
電気系統の故障は突発的に発生し、装置停止につながる重大トラブルです。
デシカント空調の故障は「単なる不具合」に見えても、根本原因をたどると共通点があります。ここでは、トラブルを引き起こす本質的な原因を解説します。
最も多い原因が、フィルター交換・ローター点検・ベルト調整といった基本メンテナンスの不足です。吸湿性能低下の80%以上はフィルターやローターの目詰まりに起因するといわれています。
季節による湿度変動、製造工程の変更、外気導入量の増加など、導入当初と環境が変わることで、負荷が設計値を超えるケースがあります。
再生ヒーター能力の不足、外気導入量の設定誤差、湿度負荷計算の甘さなどがあると、“そもそも能力が足りない”状態になります。導入後のトラブルが避けられず、長期的な性能発揮が困難になります。
吸湿剤の寿命は使用環境によって異なりますが、数年〜10年ほどで性能が劣化します。軸受・ベルト・ファンなどの駆動部品も定期交換が必要です。
故障を回避するためには、日々の運用・導入時の設計・保守体制の見直しなど、複数の観点で対策することが重要です。
専門業者による定期点検を年1~2回実施することで、故障予兆を早期に発見できます。
温湿度、電流値、振動、ローター回転数などを常時監視することで、故障の兆候を自動で検知できます。近年では中規模工場でも採用が増え、停止トラブルの大幅削減につながっています。
保守体制の品質は、安心して長期運用するための重要な指標です。
デシカント空調を正しく選定・設計することで、故障リスクの大半を回避できます。
デシカント空調の故障リスクを抑えるには、適切な設計・定期メンテナンス・運用監視の3点が最も重要です。現場環境に合った性能を発揮するためには、専門業者やメーカーの技術サポートを積極的に活用することが、長期的な安定稼働と省エネ性能の維持につながります。
デシカント空調についてさらに理解を深めたい方は、以下の記事も参考になります。
画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。
特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。
画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)
機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。
クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。
画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)
天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。
独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。
※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)