一般的な空調機器と比較して特殊な機能を持つデシカント空調では、初期費用に加えて長期的な運用コストやメンテナンス費用の把握が欠かせません。
この記事では、デシカント空調の費用構成、ランニングコスト、一般空調との比較、費用対効果を高めるためのポイントについて解説します。
デシカント空調導入の初期費用は、導入規模や機器の仕様によって変動しますが、内訳は主に3つに分類されます。
項目 | 内容 |
---|---|
本体価格 | 処理風量や除湿・加湿・熱回収などの機能に応じて価格が決まる |
周辺設備費用 | 送風機や加湿器、ダクト、フィルターなど、空調機器に必要な付帯設備の費用 |
設置工事費用 | 機器据付・電気工事・ダクト工事・試運転など。施設の状況により異なる |
具体例として、店舗面積約1,600m²の食品スーパーに導入した場合、機器費用と工事費を合わせて約2,500万~3,200万円(税不明)※の費用が見込まれます。
デシカント空調の
導入費用相場と
工事費の目安
について詳しく見る
デシカント空調のランニングコストの多くは消費電力が関係しています。店舗面積約1,600㎡の食品スーパーを例に、年間の空調およびショーケース関連の光熱費の目安を見てみましょう。
ショーケース冷凍機の電気代においても、低湿度管理を行うことで15%以上の電気代削減が確認されています。梅雨や夏季など高温多湿な時期においても、消費電力の抑制効果が期待できます。
システム全体の効率を最適化するためには、省エネルギー性の高い機種選定に加えて、GHPによる熱回収や排熱利用といった工夫も有効です。
デシカント空調の安定稼働には、定期的なメンテナンスが欠かせません。吸湿剤の状態確認、ファンやモーターの動作確認、フィルターの清掃・交換などが主な点検内容です。費用は点検項目やメンテナンス業者により異なるため、詳細は直接お問い合わせください。
主な消耗品には、吸湿剤を塗布したデシカントローターやフィルターがあります。交換時期の目安は、吸湿剤が5~7年、フィルターが半年~1年程度です。交換費用は部品の種類やメーカーによって異なります。
デシカント空調はコンプレッサー式空調と比べて、初期導入費用が高くなる傾向があります。これは、湿度制御用のローターや再生熱源の導入により、機器やシステムの構成が複雑になるためです。
導入を検討する際は、初期投資だけでなく、長期的な運用コストや省エネ効果を見据えた総合的なコスト比較を行い、適切な選択肢を判断しましょう。
初期投資は高めでも、省エネルギー性や長寿命化により、長期的な運用コストの低減が見込めます。外気処理で温度と湿度を効率的に管理できる点は省エネに直結し、適切なメンテナンスを行えば、機器の長寿命化も期待できます。
デシカント空調を選ぶ際は、使用環境や用途に応じた適切な機種選びが不可欠です。多機能な高機能機器を選定すると費用がかさみ、無駄なコストが発生します。一方、必要な機能や性能が不足している機器を選ぶと、業務効率の低下や故障リスクにつながります。
温湿度条件や換気要件、施設規模を踏まえた、的確な機種選定が重要です。
デシカント空調は換気システムや熱源設備との連携によって、さらなる省エネが可能です。排気熱を再利用する熱回収システムの導入やGHP、高効率型ボイラーなどの熱源機器の活用により、エネルギー消費を効果的に抑えることができます。
デシカント空調の導入では、省エネルギー関連の助成金・補助金を活用できる場合があります。制度によって申請条件や期間が異なるため、早期に情報を収集し、積極的な活用を検討することが重要です。
画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。
特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。
画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)
機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。
クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。
画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)
天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。
独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。
※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)