化学工場では、原材料や製品の品質を安定的に維持しながら、製造プロセスの安全性を守るために、温度と湿度を厳密に管理する製造環境がポイントです。ここでは、化学工場での空調管理の重要性と、実際の導入事例を通じて、デシカント空調の効果を紹介します。
化学工場の製造現場において、温度や湿度の管理は、単なる作業環境の快適性にとどまらず、製品品質の安定化、安全性の確保、そして生産効率の維持に直結する極めて重要な要素です。
多くの化学原材料や合成中間体は高い吸湿性を持っており、わずかな湿気の侵入でも結晶化度や純度、流動性に大きな悪影響を及ぼします。また、設備内の「結露」は金属の腐食や電気系統のショートを招き、最悪の場合は可燃性ガスへの引火といった重大事故や、定期的な除霜運転による生産ラインの停止を引き起こすトリガーにもなります。
こうした品質低下や事故発生、さらには生産停止のリスクを最小限に抑えるためには、化学工場特有の厳しい基準を満たし、過酷な環境下でも24時間安定して温湿度を制御できる、信頼性の高い空調システムの導入が欠かせません。
吸水性の高い化学粉体や樹脂ペレットは、空気中の水分を吸うと互いに固まり、輸送配管の詰まりやホッパー内でのブリッジ現象を起こします。
こうしたトラブルを防ぐため、空調システムによって空間の水分量を適切に制御する。安定した低露点空気を供給し続けることで、原料のサラサラとした流動性を維持します。
フィルムや基板への塗工、または乾燥工程において、溶剤が蒸発する際の気化熱によって表面温度が下がると、空気中の水分が結露して塗膜が白く濁る白化(ブラッシング)や気泡が発生します。
この現象を回避し、環境を適切な低露点状態に維持するための空調管理であり、製品表面が気化熱で冷却されても結露のリスクを確実に抑制して、塗工面の均一性と透明性を担保します。
特定の化学反応や防爆上の理由から、室温を低めに維持しながら除湿したいケースがあります。一般的な冷熱除湿では設備が着霜してしまい、定期的な除霜運転(デフロスト)のために生産を止めなければなりません。
デシカント空調は、こうした低温域でも設備を着霜させずに湿度をコントロールし、24時間連続運転による生産ラインの稼働率最大化に貢献します。
デシカント空調は、その精密な湿度コントロール能力と防爆エリアへの対応力により、さまざまな化学工場・製造施設で湿度による品質劣化や安全上の課題を解決しています。
ある粉体塗料の製造工場では、原材料を粉体に粉砕する工程で発生する熱による固着を防ぐための冷却空調システムを採用しました。同施設では、需要が拡大している粉体塗料を24時間体制で製造しているため、生産ラインへの影響を最小限に抑えつつ、製品品質に直結するシビアな冷却精度を維持することが求められていました。
新システムの導入により、以前よりも温度管理の精度が向上したことで、熱による粉体の固着トラブルを確実に防止し、高品質な製品の安定生産を実現しました。さらに、システムが独立した複数系統で構成されているため、万一の一部系統の不具合時にもバックアップ運転が行えるようになり、24時間操業のラインを止めることのない連続運転の体制を構築しています。
https://www.ac.daikin.co.jp/central/case/04
化学工場の空気中には、微量の有機溶剤ガスや化学物質が含まれているケースが多々あります。一般的なシステムの場合、これらの成分を吸着材が吸い込むことで、化学的な劣化や中毒現象を起こし、除湿性能が急激に低下するリスクがあります。
導入を検討する環境の空気質を事前に把握し、それに対して吸着材が劣化しにくいシステムや、例えば液体式や耐溶剤性ローターなどの適切な仕様を選定できているかが、長期的な設備寿命の分かれ目となります。
化学工場では、可燃性ガスや有機溶剤などの危険物を取り扱うエリアが多く、空調設備には厳格な防爆仕様が求められます。
システムを導入する際は、単に除湿能力を見るだけでなく、熱源部と送風部を分離して防爆エリアの外に配置できるか、ファンや電気系統が安全基準をクリアしているかなど、プラント全体の安全設計に適合できるかどうかが最優先事項となります。
化学工場は24時間体制で稼働するケースが多く、空調をノンストップで連続運転させるための電気代などのランニングコストは製造コストに直結します。
デシカント空調を導入する際は、安定した連続稼働を維持しながらも、単に電気だけでシステムを動かすのではなく、工場の製造工程で発生する蒸気や温水などの未利用排熱を再生エネルギーとして有効活用できる設計になっているかを確認することが重要です。24時間の連続運転を前提としながら、工場全体の熱バランスを最適化できるシステムを選ぶことで、大幅な省エネとランニングコストの削減を同時に実現できます。
たとえば、主流である乾式ローター方式に比べて、低温環境における消費電力を約40%削減する*ことが可能とされる湿式デシカント空調を選択することで、、システム自体の仕組みによって極めて高い省エネ効果を発揮する選択肢もあります。
画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。
特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。
画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)
機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。
クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。
画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)
天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。
独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。
※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)