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温度条件に応じたデシカント空調の選定ポイント

目次

各種施設における室内の環境温度や、処理対象となる温度帯に合わせて調湿システムを選定することは、安定した施設運営や品質・衛生管理において極めて重要なポイントです。

それぞれの温度環境に最も適したシステムを選択できれば、物品の品質維持や適切な衛生環境の確保はもちろんのこと、無駄な電力消費を最小限に抑えて、大幅なコスト削減を両立することができます。

今回は、なぜ「温度」を基準にしてデシカント空調を選ぶべきなのかという理由に加え、各種施設で想定される3つの温度帯(高温度帯・中温度帯・低温度帯)を取り上げ、それぞれの環境において注意すべきポイントと、最適な選定アプローチを解説します。

なぜ温度基準でデシカント空調を選ぶべきなのか

実際のデシカント空調選定では、必要となる風量や外気量、目標とする露点(乾燥度)、稼働時間、さらには求められる衛生条件など、数多くの要素を総合的に考慮する必要があります。そのため「選択肢が多すぎてどこから検討すればいいか分からない」と悩まれるケースも少なくありません。

そこで、適したシステムを選定するための、最初の分かりやすい切り口としておすすめしたいのが、空調システムが取り込む空気の「温度環境」に注目することです。

デシカント空調は、その仕組みによって得意とする温度帯が異なります。空気は温度によって抱え込む水分の量が大きく変化するため、熱力学的に最も効率の良い除湿アプローチも、空調機が吸い込む空気の温度ごとに変わるからです。そして、その温度に適した方法で正確に湿度をコントロールすることこそが、物品の品質維持や適切な衛生環境の確保に直結します。

温度に合わないデシカント空調を選んでしまうと、必要以上に空気を冷やしたり温めたりすることになり、膨大なエネルギーロスにつながります。対象となる空間の温度環境や、取り入れる外気の温度を正確に把握し、それに適したシステムを選ぶことこそが、無駄なコストを抑えて安定した管理環境をつくる第一歩となります。

環境温度で変わる選定セオリー

高温度帯(25度以上)

フィルムや電極の塗工後の乾燥ライン、樹脂や粉体の造粒工程など製造プロセスの高温風や、夏期の過酷な外気など、空調システムが処理する空気の温度が25度以上になる環境です。大風量かつ高湿度の処理が求められる代表的な領域と言えます。

  • 代表的な選択肢: 冷却コイルと乾式デシカント(固体ローター)を組み合わせたハイブリッドシステム
  • 主な適用対象: フィルム・電極の塗工後の乾燥ライン、樹脂・粉体の造粒工程、夏期における病院や大規模倉庫の外気処理(MAU) 
  • 選定のポイント: 高温で大量の水分を含んだ空気や夏季の外気を処理する場合、まずは冷水コイルを使って空気の熱を奪いながら、大まかに結露させて水分を取り除く粗取りを行います。その後に仕上げとして乾式のデシカントローターに通す方法が、熱力学的に最も効率が良いとされています。多くの産業用外気処理ユニットで採用されている、非常に実績のある設計定石です。

高温度帯向けの代表的な製品:リタンエア デシカント外気処理機ラデック

中温度帯(15度から25度)

電子部品の保管や医薬品の一般製剤工程、湿気を嫌う包装資材の備蓄といった常温・定湿管理が求められる産業スペースなど、空調システムが処理する空気の温度が中温度帯の範囲に収まる環境です。

  • 代表的な選択肢: ヒートポンプ回収型のデシカント空調
  • 主な適用対象: 病院の病棟や一般オフィス、電子部品・半導体部材の保管倉庫、湿気を嫌う梱包資材の備蓄スペース、一般的な医薬品の製剤工程
  • 選定のポイント: この温度帯の環境において、一般的な冷却除湿で湿度を落とそうとすると、室温が必要以上に下がりすぎてしまいます。それを防ぐために「一度冷やした空気を、再度ヒーターで温め直す」という処理が行われますが、この冷却と加熱のダブルパンチによるエネルギーの無駄遣いが、中温度帯管理における最大の課題です。
    このロスを回避するためには、ヒートポンプの作動排熱を内部で回収し、空気の加熱源として再利用できる省エネ型システムが有効です。外部から新たな熱エネルギーを投入することなく、室温を維持したまま湿度だけをコントロールできるため、年間のランニングコストを抑えることができます。

中温度帯向けの代表的な製品:ヒートポンプデシカントDESICA

低温度帯(0度から15度)

チルド倉庫や低温乾燥など、デシカント空調が処理する空気の温度が0度から15度という極めて低い環境です。食品・製薬工場など工場において、厳格な防湿・衛生管理が求められ、従来のシステムでは解決しにくい大きな盲点が存在する領域でもあります。

  • 代表的な選択肢: 湿式調湿機(液体式デシカント調湿機)
  • 主な適用対象: チルド食品や医薬品の低温倉庫や製剤・包装工程、食品の包装ライン、化学工場、精密な温湿度管理が必要な病院の特殊室(手術室など)
  • 選定のポイント:10度以下の低温環境では、一般的な冷却除湿方式だと機械の霜取りのために運転が一時ストップし、その間に温湿度が変動して結露やカビ、粉体のダマ(塊)化を招く原因になります。また、こうした低温管理が必要な現場の多くは、菌の増殖や異物混入を防ぐための高度な衛生・クリーン環境が同時に求められるケースがほとんどです。
    そのため、この温度帯における選定ポイントは、運転を止めずに温湿度を一定に保つことに加え、除湿と同時に、空気自体の除菌や清浄化がどこまで行えるかという視点です。生産ラインの安定稼働だけでなく、工場の衛生・品質管理の基準をクリアできるシステム選びが求められます。

低温度帯に応じた代表的な製品:カサバー

まとめ

デシカント空調の選定において最も重要なのは、空間の温度環境(処理温度)に合わせて、熱効率が高く、かつ運用の妨げにならない仕組みを選ぶことです。

  • 高温度帯: 冷却コイルと乾式ローターの組み合わせによる効率的な水分除去
  • 中温度帯: ヒートポンプの排熱回収による再熱ロスの削減と省エネ
  • 低温度帯: 湿式調湿機を利用することで、霜取りによる運転停止を抑えながら、継続的な温湿度管理と、空気の除菌※1・除塵による高度な衛生環境の維持

それぞれの温度条件に応じた適切なシステムアプローチをとることが、製造プロセスの安定と長期的なランニングコスト削減の両立につながります。

各種デシカントシステムの具体的な仕組みや技術的な比較については、以下の詳細ページをご参照ください。

デシカント空調の種類

※1 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
THREE SELECTIONS
目的に応じて選ぶ
デシカント空調製品おすすめ3選
チルド食品の冷却包装
向け
カサバー
カサバー

画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)

低温度帯での省エネ稼働と衛生管理

0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。

特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。

有機EL製造・開発環境
向け
ドライセーブSSP/SZP
ドライセーブSSP/SZP

画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)

超低露点乾燥を実現する独自技術

機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。

クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。

冷蔵ショーケース結露対策
向け
カラットデシカント
カラットデシカント

画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)

営業を止めずに黒カビ・結露対策

天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。

独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。

※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)