デシカント空調やドライルームについて調べていると、「露点温度」という言葉をよく目にします。露点温度とは何を表す数値なのか、なぜ低湿度環境では相対湿度(%RH)ではなく露点で管理するのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、露点温度の意味や相対湿度との違い、結露との関係、そして低露点管理が求められる理由をわかりやすく解説します。
露点温度とは、空気を冷却していったときに水蒸気が凝結し始める(結露する)温度のことです。
「この温度まで下がると結露が始まる」という目安になり、英語ではDew Pointと呼ばれ、「DP」と表記されることがあります。たとえば「-40℃DP」は露点温度が-40℃であることを示します。露点が低いほど、空気中に含まれる水分量が少ないことを意味し、デシカント空調では低湿度・低露点環境の性能指標として重要視されています。
相対湿度は「その温度で空気が保持できる水蒸気量の上限」に対する割合であり、%RHで表されます。
一方、露点温度は空気中に含まれる水分量を温度として表す指標です。相対湿度は空気温度が変わると数値も変わりますが、露点温度は空気中の水分量が変わらなければ大きく変化しません。そのため、低湿度環境では空気中の水分量を把握しやすい露点管理が用いられます。
相対湿度は、現在の水蒸気量が飽和水蒸気量(空気が保持できる水蒸気の上限)の何%に当たるかを示します。
暖かい空気ほど多くの水蒸気を保持できるため、同じ水分量でも空気を温めると相対湿度は低下し、空気を冷やすと相対湿度は上昇します。そのため、相対湿度だけを見ると実際の水分量の変化と温度変化を区別しにくい場合があり、一般的な快適性管理では相対湿度が使われることが多いです。
露点温度は、空気中に含まれる水分量の多さを判断する一つの指標です。
露点が高いほど水分量が多く、露点が低いほど乾燥した空気といえます。低露点環境では「%RH」だけでなく「℃DP」で性能を管理することがあり、特に超低湿度領域では露点のほうが管理指標として扱いやすいという特徴があります。デシカント除湿機の仕様でも出口露点が示される場合があります。
空気が露点温度より低い物体表面に触れると、空気中の水蒸気が凝結して結露になります。
たとえば、露点温度が15℃の空気が10℃の配管や冷蔵設備に触れると、表面で結露が発生する可能性があります。結露防止では、対象物の表面温度と周囲空気の露点を比較することが重要です。表面温度を上げる方法だけでなく、空気側の露点を下げることでも結露を抑えられます。これは冷蔵倉庫・食品工場・冷蔵ショーケースなどで重要な考え方です。
空気が保持できる水蒸気量は温度によって変わります。空気を冷却すると保持できる水蒸気量の上限が少なくなります。
相対湿度が100%に達した温度が露点温度であり、それよりさらに温度が下がると保持できなくなった水分が液体になります。冷たい飲み物のグラス表面に水滴が付くのも同じ仕組みで、工場では冷却配管、冷蔵設備、製品表面などで同様の現象が起こります。
たとえば、気温の異なる2つの空間がどちらも50%RHであっても、空気中に含まれる水分量は同じとは限りません。
高温の空気はより多くの水蒸気を保持できるため、「50%RH」という数値だけでは絶対的な乾燥度を比較しにくいです。温度条件が異なる設備や季節間で比較する場合、露点を確認すると水分量を把握しやすくなります。製造工程の品質管理では、この違いを理解することが大切です。
空気を加熱するだけでも相対湿度は下がりますが、加熱だけでは空気中の水分そのものは除去されません。
つまり、「相対湿度が低い=空気中の水分量が少ない」とは限らないのです。水分自体を減らすには除湿が必要であり、デシカント空調では吸湿材を利用して空気中の水分を取り除きます。低露点化では単なる加熱と除湿をしっかり区別して考えます。
DPはDew Pointの略として使われ、-20℃DPは、その空気を-20℃まで冷却すると結露し始める水分量であることを示します。
-40℃DP、-60℃DPと数値が低くなるほど空気は乾燥しており、超低露点になるほど空気中に残る水分は非常に少なくなります。必要な露点は製造工程や製品によって異なりますが、必要以上に低い露点を設定すると設備費・エネルギー費が増える可能性があるため、適した目標値を設定することが求められます。
非常に水分量の少ない超低露点環境を指します。
有機ELやリチウムイオン電池など、一部の製造・研究工程で厳しい湿度管理が求められる場合に利用され、一般的な室内空調とは目的・設備構成が大きく異なります。KARADESIで紹介しているドライセーブSSP/SZPでは、メーカーが-90℃DP対応を掲げています。実際の到達露点は処理風量や入口条件によって変わるため、「どの条件で達成できる値か」を確認することが大切です。
ドライルームでは極めて低い水分量を安定して維持する必要があります。
低湿度領域では温度変化によって相対湿度の値が大きく変わるため、露点を使うことで空気中の水分量をより直接的に管理しやすくなります。これにより製造条件の再現性を確保しやすくなり、リチウムイオン電池、有機EL、電子部品などの製造工程で広く利用されています。
一般的な冷却除湿は、空気を露点以下まで冷却して水分を凝縮させますが、低い露点を実現しようとすると非常に低い温度まで冷却する必要があり、着霜や再加熱が課題になる場合があります。
一方、デシカント方式はシリカゲルやゼオライトなどの吸湿材によって空気中の水分を直接吸着するため、冷却だけでは実現しにくい低露点領域に対応しやすいという特徴があります。
ローター内の吸湿材が空気中の水分を吸着することで、処理空気の露点を下げます。
シリカゲル・ゼオライトなど吸湿材の特性によって得意な湿度領域が異なります。また、ローターの性能だけでなく再生温度や風量も出口露点に影響し、シールからの漏気があると低露点性能を維持しにくくなるため、設備全体のバランスが重要です。
デシカント空調へ入る空気の水分量によって除湿負荷が変わります。
高温多湿な外気をそのまま大量に処理する場合は負荷が大きいため、前段で冷却・予除湿を行うシステムもあります。メーカー性能値を見る際は入口空気条件を確認し、同じ製品でも入口条件が違えば出口露点が変わる可能性がある点に注意しましょう。
処理風量が増えると、単位時間あたりに除去すべき水分量も増えます。
同じローターでも風量条件によって出口露点が変化する場合があるため、必要風量と目標露点のバランスを考えて設備を選定します。カタログ上の到達露点だけで判断せず、実際に必要な処理風量で性能を確認することが重要です。
ローターが吸着した水分を十分に放出できなければ、次の吸湿性能が低下します。
再生温度が不足すると出口露点が悪化する可能性があるため、吸湿材や製品に適した再生温度を確保する必要があります。電気ヒーター、蒸気、温水、ガスなど再生方式も併せて確認しましょう。
再生側で放出した水分を設備外へ排出するために、適切な風量が必要です。
再生ファンやフィルターの異常で風量が不足すると再生能力が低下するため、再生温度だけ正常でも十分とは限りません。再生温度と再生風量をセットで確認することが大切です。
超低露点ではわずかな高湿度空気の混入でも露点が悪化します。
ローターの処理側・再生側を分けるシール性能が重要であり、ダクト接続部の漏気も確認する必要があります。ドライルームでは扉の開閉や室圧も影響するため、設備単体の性能だけでなく空間全体の気密・運用を含めて考えます。
人が出入りすると外部の湿った空気が流入し、衣服や持ち込み物からも水分が持ち込まれます。
扉を開ける時間や回数が増えるほど除湿負荷が高まるため、前室・エアロック・パスボックスなどで湿気流入を抑える方法が用いられます。空調能力だけを増やすのではなく、運用方法も含めて低露点を維持する工夫が求められます。
デシカント空調の処理出口、ドライルーム内、製造装置周辺、給気ダクト、戻り空気など、目的に応じて測定位置が異なります。
設備出口露点が低くても、室内へ届くまでに外気が混入すると実際の室内露点は上がるため、「設備性能確認」と「製造環境管理」で測定場所を分けて考えることがポイントです。
露点計は、露点温度を測定するための計測器です。
センサー方式によって測定原理や得意な露点範囲が異なり、一般の湿度センサーでは超低露点を正確に測れない場合があります。測定したい露点範囲に適した機器を選び、センサーの校正や交換といったメンテナンスも適切に行いましょう。
センサーが測定範囲に適していない、校正ずれ、配管への外気混入、周辺に水分が残っている、測定位置の違い、風量の変化など、さまざまな原因が考えられます。
実際の空調性能の低下と切り分けて考える必要があるため、露点値がおかしい場合は測定系そのものも確認します。
室温が20℃でも、配管や冷蔵設備の表面が5℃の場合があります。
周囲空気の露点が5℃より高ければ結露する可能性があるため、結露対策では対象物の表面温度より露点を低く保つことが重要です。断熱によって表面温度を上げる方法と、除湿によって露点を下げる方法を組み合わせるのが効果的です。
冷却工程や低温室では設備・製品表面温度が低くなるため、高湿度空気が流入すると結露が発生しやすくなります。
結露によって衛生環境や包装工程へ影響する可能性があるため、空気の露点を管理することで低温面での結露リスクを判断しやすくなります。チルド食品の冷却包装などでは温度と湿度の両方を考慮し、KARADESIでは低温度帯向けとしてカサバーなどを紹介しています。
微量な水分が製造工程や製品品質に影響する場合があるため、結露だけでなく材料そのものの吸湿を抑える目的で低露点管理を行います。
半導体、電子部品、リチウムイオン電池などでは工程ごとに必要条件が異なるため、「低ければ低いほどよい」と考えるのではなく、製造基準に合わせて目標露点を設定します。
水分に敏感な材料や工程では、超低湿度環境が求められる場合があります。
湿度条件を安定させるため、ドライルーム・クリーンブースとデシカント除湿を組み合わせる運用が行われます。KARADESIで紹介しているドライセーブSSP/SZPは、メーカー公表値で-90℃DPに対応しています。実際の設備選定では、必要露点・風量・空間条件をメーカーへしっかりと伝えましょう。
必要以上に低い露点を設定する必要はありません。
露点を下げるほど除湿負荷が高まり、設備能力やエネルギー消費が増える可能性があるため、初期費用・ランニングコストにも影響します。品質上必要な露点を明確にし、「できるだけ乾燥させたい」という曖昧な要件で設備を選ばないことが重要です。
カタログ上の到達露点の下限値だけで比較せず、入口温湿度、処理風量、再生温度、再生風量、運転条件、測定位置などを総合的に確認します。
同じ「-40℃DP対応」でも、条件が違えば単純比較できないため、自社の運用条件をメーカーへ提示して選定を進めることを推奨します。
オフィスや病院など人の快適性管理や一般的なカビ対策では、相対湿度がわかりやすく適しています。
一方、冷たい設備の結露管理やドライルーム、超低湿度製造などでは露点管理が適しています。用途によって相対湿度・露点を使い分け、必要に応じて両方を監視する運用が求められます。
導入を検討する際は、現在の室温・相対湿度・露点、目標露点、対象空間の容積、外気条件、外気導入量、発湿量、必要処理風量、運転時間、対象物の表面温度などを整理します。
メーカーへは「%RH」だけでなく、必要に応じて露点条件も提示することで、より適した設備提案を受けやすくなります。
「露点がマイナスになるとはどういう意味か」「露点と湿球温度は同じか」「相対湿度から露点を求められるか」といった疑問がよく聞かれます。
露点が低いほど乾燥しており、-40℃DPなどのマイナス値は空気中の水分が極めて少ないことを示します。また、温度条件によって相対湿度換算値が変わるため、単純な固定換算をせずに環境ごとの状態を個別に把握することが大切です。
必要な露点レベルや用途によって、適する方式・製品は異なります。
チルド食品の冷却包装など低温環境で結露を抑えたい場合はカサバー、有機EL製造など超低露点環境を必要とする場合はドライセーブSSP/SZP、冷蔵ショーケース周辺の結露対策にはカラットデシカントなど、目的に合った選択が重要です。
・デシカントとは?吸湿材の種類と除湿の仕組み
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・精密機器工場向けデシカント空調
・工場の結露防止に!デシカント空調活用ガイド
・デシカント空調製造メーカー一覧・比較
露点温度とは、空気を冷却したときに水蒸気が結露し始める温度のことです。
相対湿度は温度によって数値が変わるのに対し、露点は空気中の水分量を把握しやすい指標です。ドライルームや超低湿度製造では、相対湿度だけでなく露点による管理が欠かせません。デシカント空調は吸湿材によって空気中の水分を直接除去するため、低露点環境の構築に適しています。製品比較の際は、入口条件や処理風量などを確認し、製造工程や結露対策に必要な目標値を明確にして設備を選定しましょう。
画像引用元:株式会社ティーネットジャパン公式HP
(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
0℃付近で高い省エネ効率(乾式デシカント比約40%削減※1)を発揮し、低温環境での運用コストを大幅に削減。霜取り運転も不要なため安定した稼働が見込めます。
特殊溶液が結露・粉じんを抑え、製品トラブルを予防。除菌性(食塩水相当)により空気中の菌も除去※2し、HACCPにも対応可能です。
画像引用元:株式会社西部技研公式HP
(https://seibu-giken.com/products/287/)
機能性ハニカム構造を製造する技術と、特殊シリカゲルや合成ゼオライトを使用することにより、-90℃DPという超低露点に対応します。
クリーンブースの一体設計が可能。湿度制御の精度を高めることで、恒常的な超低湿制御が前提となる有機EL製造に対応できます。
画像引用元:日本特殊陶業公式HP
(https://niterra-air.com/)
天井埋め込み型なので店内の景観を損なわず、最短1日の夜間工事※3で設置が完了。営業への影響を抑えた導入が可能です。
独自開発の除湿素材を活用し、店内の湿度を40〜50%に保つことで、冷蔵ショーケースの曇りや結露の発生を抑えやすい空調環境を整えます。
※1 108.8kW→61.9kW 参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/files/products_kathabar/comparison_table.pdf)
※2 実証実験による結果。測定場所:某ビール工場 測定日時:1998年7月7日 測定機器:RCSエアーサンプラー(密閉状態で測定)
参照元:ティーネットジャパン公式HP(https://www2.tn-japan.co.jp/kathabar/contents/products/kathabar/)
※3 1台で約1日(スーパーマーケットの場合、閉店後~翌開店前まで)で設置可能。 参照元:日本特殊陶業株式会社公式HP(https://niterra-air.com/faq/)